
こんにちは。aim TENNIS ACADEMY代表の、まさたこです。
今日は、誰もが人生で何度も直面する、「心が折れそうなとき」について、じっくりと話をしたいと思います。この記事があなたの心の支えになれば嬉しいです。
心が折れる瞬間——それは成長の岐路
心が折れる瞬間というのは、テニスに限らず、どんなスポーツや日常生活、仕事や学業でも訪れます。それは多くの場合、自分の限界に挑戦しているからこそ感じる感情です。
心が折れるとき、その正体は?
- 何度練習しても上手くいかないとき
- 大事な試合や場面で緊張からミスを連発してしまったとき
- 周囲の期待に応えられず、申し訳ない気持ちでいっぱいになるとき
- 自分が思い描いた理想と現実のギャップに打ちのめされたとき
- 努力しているのに、なかなか結果に結びつかないとき
- ライバルや仲間が自分よりも速く上達していくのを目の当たりにするとき
そんな瞬間、心の中で静かに、あるいは大きく、
「もう無理だ…」「自分には向いていないのかも…」「どうせ私なんて…」
という声が聞こえてくることがあります。
その感情を否定する必要はありません。それは、あなたが真剣に取り組んでいるからこそ生まれる感情なのですから。
しかし、ここで大切なのは、その「心が折れそうな瞬間」にどう向き合うかです。なぜなら——
その瞬間こそが、本当の意味で強くなれるチャンスなのです。
私自身の「心が折れた経験」から学んだこと
私もテニスプレーヤーとして、そしてコーチとして、心が折れそうになった経験が数えきれないほどあります。皆さんにまず、私自身の経験をお話ししたいと思います。
プレーヤーとしての挫折
高校時代、私は弱小高校でレギュラーにすらなれないほどの選手でした。次のステップである地区大会では、毎回初戦敗退。努力しても結果が出ない日々が続きました。ジュニアランキングポイントは最高70ポイントです。
毎朝5時に起きて壁打ち練習をし、放課後も暗くなるまで練習する日々。それでも壁を超えられない自分に、何度「もうテニスを辞めよう」と思ったことか。
そんなとき、恩師から言われた言葉が今でも心に残っています。
「結果が出ないのは、君がまだ十分な壁にぶつかっていないからだ。本物の壁にぶつかったとき、初めて本当の成長が始まる」
その言葉を胸に、もう一度練習に打ち込んだ結果、翌年ついに地区大会で初勝利をつかむことができました。
全国を目指すトップジュニアからしたら大したことないかもしれませんが、自分にとっては凄く大きな1歩でした。
コーチとしての苦悩
テニスコーチになってからも、心が折れそうになることはありました。
特に忘れられないのは、ある一般女性を指導していたときのこと。彼女は天性の才能を持っていましたが、どうしてもメンタル面で弱く、試合になると実力を発揮できませんでした。
半年間、様々な方法を試しましたが、一向に改善しない。「自分の指導力が足りないのではないか」「彼女の才能を潰してしまうのではないか」と自問自答する日々。
コーチとしての自信が揺らぎ、指導者としての道を諦めようかと思ったこともありました。
しかし、その経験から、「一人ひとりに合った指導法がある」ことを学び、より深く心理面を勉強することになりました。結果的に、彼女だけでなく、多くの生徒の心の壁を乗り越える手助けができるようになったのです。
心が折れそうなとき、どう考えるべきか?
心が折れそうなときの対処法は、人それぞれに合ったものがあります。しかし、私の経験から、特に効果的だと感じているアプローチをいくつかご紹介します。
① ミスは”成長のサイン”と捉え直す
まず認識して頂きたいのが、「ミスは成長のサイン」だということ。
テニスに限らず、新しいことを学ぶ過程では、ミスは避けられません。むしろ、ミスがないということは、安全圏でしか行動していないということかもしれません。
ミスするということは、それだけ新しいことに挑戦している証拠。自分の限界を少し超えようとしている証拠なのです。
「できないことをできるようにする」ためには、何度も何度も繰り返して、失敗して、学んでいくしかないのです。① ミスは”成長のサイン”と捉え直す
まず覚えておいてほしいのは、「ミスは成長のサイン」だということ。
テニスに限らず、新しいことを学ぶ過程では、ミスは避けられません。むしろ、ミスがないということは、安全圏でしか行動していないということかもしれません。
ミスするということは、それだけ新しいことに挑戦している証拠。自分の限界を少し超えようとしている証拠なのです。
「できないことをできるようにする」ためには、何度も何度も繰り返して、失敗して、学んでいくしかないのです。
実践例:ミスノートをつける
私がコーチングの中で取り入れているのが「ミスノート」という方法です。
練習や試合でミスしたときに、単に「ダメだった」と落ち込むのではなく、
- どんな状況で
- どんなミスをしたのか
- 原因は何だったのか
- 次回どう改善するか
をノートに記録していきます。
すると不思議なことに、ミスが「敵」から「教材」に変わるのです。「またあのミスをしてしまった…」から「あのミスから学んだ教訓を活かせた!」という思考に変化していきます。
② “今この瞬間”に集中する力を養う
心が折れそうなときは、どうしても「過去のミス」や「未来の不安」に意識が引っ張られがちです。
「さっきのミスがなければ…」「このまま負けたらどうしよう…」
こうした思考は、現在のパフォーマンスを著しく低下させてしまいます。
テニスは”今この瞬間”が勝負のスポーツ。過去や未来ではなく、「次の1球に集中する」ことが大切です。
実践例:呼吸法とルーティン
集中力を高めるために効果的なのが、「呼吸法」と「ルーティン」です。
試合中にミスをしたとき、または心が乱れそうになったときは、まず深呼吸を3回します。そして、自分だけの「リセットルーティン」を行います。
例えば、
- ラケットのストリングを直す
- 靴底の砂を落とす
- 決まった言葉を心の中で唱える
こうした一連の動作を行うことで、「過去のミス」から意識を解放し、「次の1球」に集中することができるようになります。
③ “結果”ではなく”プロセス”に目を向ける
もちろん、勝ちたい気持ちは大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、「自分がどれだけ努力したか」「どれだけ成長したか」というプロセスです。
結果は、正直なところ、自分の力だけではどうにもならないことがあります。
相手の調子、コンディション、運の要素も絡んできます。
でも、努力のプロセスは、100%自分次第。その積み重ねこそが、長期的な成長と自信につながっていきます。
実践例:プロセス目標を設定する
試合に向けて準備するとき、「優勝する」「勝つ」という結果目標だけでなく、「サーブの成功率を70%以上にする」「ポジティブな言葉かけを5回以上する」といった、自分でコントロールできるプロセス目標を設定します。
そうすることで、たとえ結果としては負けたとしても、自分の設定した目標を達成できれば、それは成功体験となり、自信につながります。
④ 自分の「Why(なぜ)」を思い出す
心が折れそうになるとき、往々にして私たちは「そもそもなぜこれをやっているのか」という原点を見失っています。
テニスを始めたきっかけ、続けている理由、目指している目標——そうした自分の「Why」を再確認することで、新たな勇気が湧いてくることがあります。
実践例:モチベーションレター
自分が最もモチベーションの高いときに、「未来の自分へのレター」を書いておきます。
「なぜテニスを続けているのか」「どんな自分になりたいのか」「何を大切にしているのか」といった思いを率直に書き留めておくのです。
そして、心が折れそうになったときに、このレターを読み返す。すると、自分の原点と情熱を思い出すことができます。
心が折れそうな瞬間を乗り越えた生徒たちの物語
ここからは、実際にaimで指導してきた生徒たちが、「心が折れそうな瞬間」をどう乗り越えたか、その実例をお話ししたいと思います。
中学生Aくんの物語:連敗からの復活
中学テニス部に所属するAくんは、地区大会を前に10連敗という厳しい状況に陥っていました。練習では調子が良いのに、試合になると緊張でガチガチになり、普段の半分も力が出せない。
「もうテニスを辞めたい」と涙ながらに訴えるAくんに、私たちは「結果」ではなく「自分らしいプレー」に焦点を当てることを提案しました。
具体的には、
- 試合前の緊張をほぐすルーティンの確立
- 「勝つ」ではなく「自分のショットを打つ」という目標設定
- 一球一球を大切にする「現在」への集中
この3つに取り組んだ結果、徐々に試合でも力を発揮できるようになり、最終的には地区大会でベスト8に入るまでに成長しました。
彼は今こう語ります。「連敗していたあの時期があったから、今の自分がある。あのとき諦めなくて本当に良かった」
主婦Bさんの物語:年齢への不安との闘い
40代で初めてテニスを始めたBさん。若い頃からスポーツに縁がなく、「こんな年齢から始めて上手くなるはずがない」と常に自信が持てませんでした。
レッスンに来ても、他の生徒と比べて落ち込むことが多く、何度も辞めようと考えたそうです。
そんなBさんに私たちが提案したのが、「成長の記録」をつけること。毎回のレッスン後に、
- 今日できるようになったこと(小さなことでも)
- 次回までに練習すること
- 感じた喜びや発見
を記録していってもらいました。
すると半年後、その記録を見返したBさんは、自分の成長に驚愕。「最初はラケットにボールを当てることさえ難しかったのに、今ではラリーが続くようになっている!」
その発見が自信につながり、今では地域の試合にも積極的に参加する、イキイキとしたプレーヤーに成長しました。
社会人Cさんの物語:スランプからの脱出
テニス歴10年の上級者Cさん。しかし、ある時期から突然フォームが崩れ、ひどいスランプに陥りました。それまで得意だったサーブが入らなくなり、バックハンドも安定しない。
何が原因かわからず、「もうダメなのかもしれない」と落ち込むCさん。しかし、このときに効果があったのが「基本に立ち返る」というアプローチでした。
- 複雑な技術的指導は一旦横に置く
- 最も基本的なフォームに立ち返る
- ボールを「打つ」より「感じる」ことに集中する
このシンプルな練習を繰り返した結果、徐々にフィーリングを取り戻していきました。
Cさんは後にこう振り返っています。「スランプは、テニスを新しい視点で見直すチャンスだった。基本に立ち返ったことで、かえって以前よりも安定したプレーができるようになった」
心が折れた経験は、必ず強さに変わる
ここまで様々な例をお話ししてきましたが、共通しているのは「心が折れそうになった経験」が、後に大きな「強さ」に変わっているということです。
挫折が教えてくれる本当の教訓
挫折や失敗、スランプという経験は、決して無駄なものではありません。実はその中に、かけがえのない教訓が隠されているのです。
- 自分の弱点を知る機会になる
- 本当に大切なものが何かを教えてくれる
- 謙虚さと忍耐力を育ててくれる
- 逆境に立ったときの対処法を学べる
こうした教訓は、テニスだけでなく、人生のあらゆる場面で役立つものです。
私自身、これまでの指導者生活で何度も壁にぶつかり、心が折れそうになりました。
- 教え方が生徒に合わず、上達が見られないとき
- スクール運営で思うような結果が出ないとき
- 生徒のメンタルケアに悩み、夜も眠れなくなったとき
でも、そのたびに思い直してきました。
「ここで諦めたら、今までの努力が無駄になる。そして何より、生徒たちの可能性を閉ざしてしまう」
だからこそ、
- もう一球だけ粘ってみる
- もう一度、基本に立ち返ってみる
- もう一度、自分の目標を思い出してみる
そんな小さな挑戦を、諦めずに続けてきました。
その結果、生徒一人ひとりに合った指導法を見つけ出し、より深く理解できるようになりました。心が折れそうな瞬間が、私をより良いコーチに成長させてくれたのです。
「折れない心」ではなく「折れても立ち上がる心」
よく「メンタルが強い」というと、「決して折れない強靭な心」を想像しがちです。しかし、実際に重要なのは、「折れても立ち上がれる回復力」なのではないでしょうか。
誰でも心は折れることがあります。大切なのは、折れたまま諦めるのではなく、どう立ち直るかというプロセスです。
aimでは、この「心の回復力」を育てるために、次のことを大切にしています。
- 失敗を恐れない安全な環境づくり
- 仲間と支え合える関係の構築
- 小さな成功体験の積み重ね
- 「ダメな自分」も受け入れる自己肯定感
こうした土台があるからこそ、心が折れそうになっても、再び立ち上がる力が育まれるのだと信じています。
最後に——心が折れそうなあなたへ
もし今、この記事を読んでいるあなたが、心が折れそうになっているなら、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。
「それは、あなたが真剣に取り組んでいる証拠」
だと、私は思います。
心が折れそうになるのは、あなたがただ流されているのではなく、何かに真剣に向き合い、挑戦しているからこそ。その気持ちを、まずは誇りに思ってください。
そして、心が折れそうなときほど、もう一歩だけ、前に進んでみてほしい。
「今日はもうダメだ」と感じる日もあるでしょう。それでいいのです。休息も必要です。ただ、完全に諦めてしまわないでください。
明日、また一歩前に進んでみる。
その繰り返しが、あなたの中に新しい強さを育んでいきます。その一歩が、あなたの”次の強さ”につながります。
テニスは、ただのスポーツではありません。人生の縮図でもあります。コート上での挑戦と成長は、必ずコート外の人生にも活きてきます。
だからこそ、aimは単にテニス技術を教えるだけでなく、「心の力」を育てることも大切にしています。あなたがテニスを通じて、自分自身の可能性を広げ、人生をより豊かにしていくお手伝いをしたいと思っています。
さあ、また一緒に頑張りましょう。あなたは決して一人ではありません。
aim TENNIS ACADEMY 代表 まさたこ
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