
こんにちは。aim TENNIS ACADEMY代表の、まさたこです。
今日は、テニスだけでなく、人生そのものに通じる普遍的なテーマ、「強くなりたいけど、自信がない人へ」というお話をしたいと思います。
この記事を読んでいるあなたは、おそらく「もっと上手くなりたい」「もっと強くなりたい」という思いを持ちながらも、「でも、自分にできるだろうか…」という不安や自信のなさに悩んでいるのではないでしょうか。
その気持ち、私も何度も経験してきました。選手としても、コーチとしても。この記事が、そんなあなたの心に少しでも響き、明日からの一歩を踏み出す勇気になれば嬉しいです。
なぜ自信が持てないのか?
まず、強くなりたいけれど自信がないと感じる理由には、いくつかの共通点があります。
失敗することへの恐れ
- 「ミスをしたらどうしよう」
- 「恥ずかしい思いをしたらどうしよう」
- 「期待に応えられなかったらどうしよう」
こういった「失敗への恐れ」は、誰もが持っている自然な感情です。特に、真剣に取り組めば取り組むほど、その恐れは大きくなりがちです。
他人との比較
- 「あの人はもっと上手い」
- 「同じ練習量なのに、なぜ自分は成長が遅いのか」
- 「あんなに若いのに、すでにあんなに上手い」
SNSの発達した現代では、常に誰かと自分を比較してしまいがちです。しかし、この「比較」が自信を奪う大きな要因になることも事実です。
過去のトラウマ
- 大事な試合での敗北
- コーチや先輩からの厳しい言葉
- 周囲からの期待に応えられなかった経験
過去の辛い経験が、無意識のうちに「自分はダメなんだ」という思い込みを作り出していることもあります。
「才能」という幻想
- 「自分には才能がない」
- 「生まれ持った素質が足りない」
- 「もう歳だから…」
「才能」という言葉に縛られ、自分の可能性を自ら制限してしまっている人も少なくありません。
しかし、ここで大切なことをお伝えしたいと思います。
その「自信のなさ」は、あなたが真剣に取り組んでいる証なのです。
むしろ、「強くなりたい」という気持ちがあるからこそ、自信が揺らぐ瞬間があるんです。何も考えずに「どうせ無理」と諦めている人は、そもそも「自信がない」とも感じません。
だからまずは、その気持ちを否定しないでください。「自信がない自分」も含めて、すべてのあなたを受け入れることが、真の自信への第一歩なのです。
プロの世界でも同じ
多くの人は、トッププレーヤーは常に自信に満ち溢れていると思っているかもしれません。しかし、実際には彼らも同じような「自信のなさ」と戦っています。
テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーでさえ、「キャリアの中で何度も自信を失いかけた時期があった」と語っています。また、ラファエル・ナダルも「毎試合、失敗への恐れと戦っている」と告白しています。
彼らとの違いは何か?それは、「自信のなさ」を感じながらも、それに打ち勝つための方法を見つけ出したことではないでしょうか。
自信は、どうやって育てるのか?
では、具体的にどうすれば自信を育てることができるのでしょうか?ここからは、私自身の経験と、多くの生徒を指導してきた中で見いだした「自信を育てる4つの方法」についてお伝えします。
1. 小さな成功体験を意識的に積み重ねる
自信は、“小さな成功”の積み重ねで育ちます。
- いつもより速いボールが打てた
- ラリーが10回続いた
- 苦手だったサーブが5回連続で入った
- 新しい技術にチャレンジした
そんな”小さな勝利”を繰り返すうちに、「自分にはできるんだ」という気持ちが少しずつ育っていきます。
成功体験を意識的に作り出す方法
ここで大切なのは、「成功体験を意識的に作り出す」ということです。多くの人は成功を偶然に任せがちですが、自信を育てるためには計画的に成功体験を積み重ねることが重要です。
- 達成可能な「小さな目標」を設定する 例えば「サーブを10本中7本入れる」「バックハンドを5回連続で成功させる」など、明確で達成可能な目標を設定します。
- 成功したら必ず自分を褒める 小さな目標を達成したら、必ず自分を褒めましょう。「よくやった!」「できたじゃないか!」と、声に出して自分を認めることが重要です。
- 成功体験を記録する 「成功日記」をつけることで、自分の成長を可視化できます。日々の小さな成功を書き留めておくことで、落ち込んだときに読み返す「自信の源」になります。
aimでの実践例
aimでは、生徒一人ひとりに「成功ノート」をつけてもらいます。これは、毎回のレッスンで「できるようになったこと」「上手くいったこと」を記録するノートです。
ある小学生の生徒は、最初「何も書くことがない」と言っていましたが、コーチが「ラケットをしっかり握れたね」「足の向きが良くなったね」など、小さな成功を指摘していくうちに、自分でも成功を見つけられるようになりました。
半年後、その生徒は「自分の成長に自信が持てるようになった」と笑顔で話してくれました。小さな成功の積み重ねが、自信につながった瞬間でした。
2. 他人と比べない——自分だけの成長曲線を描く
自信がないと感じる最大の原因の一つは、「他人と比べること」です。
- あの人は自分より上手い
- 同期が先に試合に出ている
- SNSで見る他のプレーヤーがすごすぎる
そう感じることがあるかもしれませんが、「人はそれぞれ違う」という事実を忘れないでください。
成長のスピードも、才能の開花する時期も、強みとなる能力も、人それぞれ異なります。だからこそ、他人と比べるのではなく、「昨日の自分と比べてどうか」を意識することが大切なのです。
「比較」から解放される具体的方法
- 「自分基準」の評価軸を持つ 自分が何を大切にしたいのか、どんなプレーヤーになりたいのかという、独自の「評価軸」を持ちましょう。例えば「安定性」「粘り強さ」「戦術的知性」など、自分が価値を置くものを明確にします。
- 「成長の可視化」を行う 数値化できる指標(例:サーブの成功率、ラリーの継続数など)を定期的に記録することで、自分自身の成長を客観的に確認できます。
- 「固有の強み」を見つける 誰にでも、固有の強みがあります。あなただけの「武器」を見つけ、それを磨くことに集中しましょう。他の人と違う部分こそ、あなたの価値なのです。
実例:「比較」から解放された40代女性の物語
当スクール(現在)に通う40代の女性は、当初「若い人たちと一緒にレッスンを受けるのが辛い」と話していました。技術の吸収スピードの差を感じ、自信を失っていたのです。
そこで彼女には、「あなただけの成長曲線」に目を向けることを提案しました。彼女の強みは「粘り強さ」と「戦術的理解力」。これらを活かした独自のプレースタイルを構築することに焦点を当てました。
また、月に一度「自分だけの成長チェック」を行い、以前の自分と比較する習慣をつけてもらいました。
半年後、彼女は「他の人と比べなくなったら、テニスがずっと楽しくなった」と語ってくれました。地域の試合でも、その独自のプレースタイルを活かして好成績を収めるようになりました。
3. 失敗を「成長の種」として受け入れる
失敗は、自信を失わせる大きな原因です。思うようにプレーできなかったとき、大事な試合で負けたとき、多くの人は「自分はダメだ」と感じてしまいます。
でも、失敗しない人なんて、どこにもいません。むしろ、失敗は“成長の種”なのです。
- 失敗するから学べる
- 失敗するから強くなれる
- 失敗するから次に活かせる
そんなふうに考えると、「失敗もまた自信の一部」だと思えるようになります。
失敗を受け入れるための具体的ステップ
- 失敗の「分析」と「切り離し」 失敗をしたら、まず冷静に「何が原因だったか」を分析します。そして重要なのは、「その失敗は行動の結果であり、自分自身ではない」と切り離して考えること。「私はダメな人間だ」ではなく「そのショットはうまくいかなかった」という捉え方です。
- 「失敗学習ノート」をつける 失敗した内容、原因、そこから学んだこと、次回の改善策を記録する「失敗学習ノート」をつけましょう。これにより、失敗が「無駄」ではなく「学びの機会」になります。
- 「復元力」を意識的に鍛える 失敗からいかに早く立ち直れるかという「復元力」も、練習で鍛えられます。例えば「ミスをしたら3秒だけ悔しがって、その後は切り替える」といった具体的なルールを設けて実践してみましょう。
プロが実践する「失敗との向き合い方」
ノバク・ジョコビッチ選手は、著書の中で「失敗は私の最大の教師だった」と語っています。彼は若い頃、重要な試合でのプレッシャーに弱く、何度も挫折を経験しました。しかし、その度に失敗から学び、メンタル面を強化していったのです。
今や彼は「メンタルの強さ」を最大の武器とする選手として知られています。失敗を恐れず、むしろそこから学ぶ姿勢が、彼の自信の源になっているのでしょう。
4. ポジティブな自己対話を習慣化する
自信がないときほど、自分に対する言葉かけ——「自己対話(セルフトーク)」が重要になります。
- 「自分にはできる」
- 「次こそはうまくいく」
- 「一球一球、集中あるのみ」
- 「自分を信じよう」
このようなポジティブな自己対話が、**「自分を信じる力」**を育ててくれます。
逆に、
- 「どうせ無理だ」
- 「また失敗する」
- 「自分には才能がない」
といったネガティブな自己対話は、自信を徐々に蝕んでいきます。
ポジティブな自己対話を習慣化する方法
- 「自分の言葉」を意識する まずは、普段自分がどんな言葉で自分に語りかけているかを意識してみましょう。無意識のネガティブな自己対話に気づくことが、変化の第一歩です。
- 「言い換えリスト」を作る よく使うネガティブな言葉を書き出し、それをポジティブな言葉に言い換えるリストを作りましょう。例えば: 「できない」→「まだできないだけ」 「無理だ」→「チャレンジだ」 「失敗した」→「学んだ」
- 「アファメーション」を取り入れる 朝と晩、自分を励ます言葉を声に出して唱えてみましょう。例えば「私は日々成長している」「困難があっても乗り越える力がある」など。最初は照れくさく感じるかもしれませんが、継続することで効果が表れてきます。
言葉の力を実感した中学生の例
当スクールに通う中学生のAくんは、試合になると極度に緊張し、「どうせ無理」「また負ける」という言葉が頭に浮かぶと話していました。
彼には、試合中に使える「パワーワード」を一緒に考えることを提案しました。長い議論の末、彼が選んだのは「一球入魂」「今この瞬間」「自分を信じろ」の3つ。
これらの言葉をリストアップしたカードを作り、ラケットバッグに入れておくようにしました。試合中、ポイント間に見えないようにそのカードに触れることで、言葉を思い出す習慣をつけてもらったのです。
数ヶ月後、彼は大会で自己最高の成績を収めました。試合後、彼は「頭の中の声が変わった。『無理』ではなく『できる』と思えるようになった」と話してくれました。
「自信」と「自己肯定感」の違いを知る
ここまで「自信」を育てる方法についてお話ししてきましたが、より根本的な部分として「自己肯定感」についても触れておきたいと思います。
「自信」と「自己肯定感」は、しばしば混同されますが、実は異なる概念です。
- 自信:「自分は〇〇ができる」という能力への信頼
- 自己肯定感:「自分はこのままで価値がある」という存在への肯定
「自信」は特定の能力や状況に関するものであり、経験や成功体験によって変動します。一方、「自己肯定感」はより根源的なもので、自分の存在そのものを認め、受け入れる感覚です。
なぜ「自己肯定感」が重要なのか?
強い「自己肯定感」を持っていると、たとえテニスで失敗したり、試合に負けたりしても、「自分はダメな人間だ」という結論には至りません。「テニスのこの部分は改善が必要」と捉え、自分の価値自体は揺るがないのです。
このような状態であれば、失敗を恐れずチャレンジでき、結果として「自信」も育ちやすくなります。
「自己肯定感」を育てるヒント
- 自分の価値は結果だけでは測れないことを認識する 勝敗や上達度だけでなく、努力のプロセス、誠実さ、継続力など、様々な側面に自分の価値を見出しましょう。
- 「無条件の自己受容」を実践する 「もっと上手くなったら自分を認めよう」ではなく、「今の自分をまず受け入れよう」という姿勢が大切です。
- 他者への貢献を意識する テニスを通じて仲間を励ましたり、チームに貢献したりすることで、自分の存在価値を実感できることがあります。
実例:「自信」を育んだ三つの物語
ここまで理論的な部分をお伝えしましたが、最後に実際にaimで「自信」を育んだ三人の物語をご紹介したいと思います。
小学生Aちゃんの物語:「小さな成功体験」の積み重ね
小学5年生のAちゃんは、元々運動が苦手で、テニスを始めた当初は「ボールに当たらない」「みんなについていけない」と毎回泣いて帰る日々でした。
Aちゃんには、とにかく「小さな成功体験」を意識的に作ることから始めました。例えば、「ラケットにボールが当たる」だけでも大成功として全力で褒める。徐々に「3回連続で当てる」「コートに入れる」など、少しずつハードルを上げていきました。
また、「成功シール帳」を作り、できたことごとにシールを貼っていく取り組みも行いました。
1年後、Aちゃんは見違えるように成長し、地域の大会にも出場するようになりました。彼女は今、「できないことがあっても、少しずつできるようになる自分が好き」と話してくれます。
中学生Bくんの物語:「失敗からの学び」を実践
テニス部に所属する中学2年生のBくんは、高い技術を持ちながらも、試合になると「失敗への恐れ」から萎縮してしまい、実力を発揮できない状況が続いていました。
Bくんには、「失敗分析ノート」をつけることを提案しました。大会の後、感情が落ち着いてから「何がうまくいかなかったか」「原因は何か」「次にどう活かすか」を冷静に分析する習慣をつけたのです。
また、練習試合では意図的に「挑戦ゾーン」を設定し、「このゲームは結果を気にせず、新しい技術に挑戦してみよう」という機会を作りました。
半年後、Bくんは大会で好成績を収め、「失敗を恐れなくなった。むしろ、失敗から学べることが楽しみになった」と語ってくれました。
50代Cさんの物語:「自己対話」を変えた主婦
50代で初めてテニスを始めたCさんは、「もう歳だから」「若い人にはかなわない」といった言葉を口にすることが多く、新しいことに挑戦するのを避ける傾向がありました。
Cさんには、「言葉の力」について話し、毎日の「アファメーション」を提案しました。鏡の前で「私は日々成長している」「年齢は関係ない」「挑戦する自分を誇りに思う」と唱える習慣をつけてもらったのです。
最初は恥ずかしがっていたCさんも、続けるうちに少しずつ言動に変化が現れ始めました。レッスンでも積極的に質問をしたり、難しい技術に挑戦したりするようになったのです。
1年後、Cさんは地域の大会に出場し、同年代の部で3位に入賞。「頭の中の声が変わると、行動も変わる。自分でも驚いています」と笑顔で話してくれました。
最後に──強くなりたいあなたへ
もし今、
「自信がない」
と感じているなら、それは”強くなりたい証”であり、成長への第一歩なのです。
自信は、一夜にして育つものではありません。小さな成功体験を積み重ね、他人との比較から解放され、失敗から学び、自分を励ます言葉を選ぶ——そうした日々の積み重ねが、やがて揺るぎない自信へと育っていきます。
そして、テニスコートで育んだ「自信」は、必ずあなたの人生の他の場面でも力を発揮することでしょう。
自信を持つことは、単に「強くなる」ということだけではなく、「自分らしく、自分のペースで成長していく」ということ。
だから、その気持ちを大切に、少しずつでも前に進んでみてください。たとえ小さな一歩でも、それがあなたの「自信」という樹を育てる、確かな養分となるのです。
さあ、またコートで会いましょう。
強くなりたい気持ちを大切に、自分を信じて前に進むあなたを、僕たちは全力で応援します。
aim TENNIS ACADEMY 代表 まさたこ
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